ゲーム理論で考える社内情報共有が上手くいかない理由

社内での情報共有を考える際、自分以外のみんなは積極的な協調行動をとってくれるだろうか?という不安はいつの時代も残ります。

例えば、Aさんが一生懸命考えたアイデアがつまった提案書を、なまけているBさんに無条件に差し出すことをするでしょうか?という問題があります。合理的に考える人であればあるほど、それに見合った対価が支払われなければ、人はそれを差し出したりはしません。「誘因と貢献」という言葉がありますが、ある行為に対して報われる結果なければ人は動かないわけです。

ゲーム理論でいう囚人のジレンマによって説明すれば、AさんBさん共に同等の価値をもつ優良情報を交換し合うことが出来れば、共にWin-Winということになりますが、どちらかが裏切れば自分だけが損をします。

(Aさん、Bさん) 協調(優良情報) 裏切り(ガセネタ)
協調(優良情報) (5、5) (-10、10)
裏切り(ガセネタ) (10, -10) (0、0)

しかし、囚人のジレンマのナッシュ均衡は(裏切り:裏切り)なので、協力の行為を左右する新たな条件が投入されない限り、いくら情報共有は大切だと訴えても優良情報は集まらないというのがこのゲームの正解です。

また、それとは別のゲームがあります。これはある条件が整ったことで社員たちは協力し合うというものです。
例えば、条件というのは以下のような利害関係があり得ます。

インドネシアのロンブレン島ラマレラに住む漁師は、現実にこの種のゲームを年中行っている。捕鯨をするためには、船長、航海士、観測員と、船首に立って銛を投げる度胸のある人が必要となる。1人が欠けただけで、捕鯨が成功する可能性は極めて低くなる。だが漁師は、沿岸で小さな獲物を採集したり、その他の社会活動を行ったりすることも可能である。漁師は、大雑把に言えば、他の漁師が捕鯨に参加するならば、自分もそれに参加したいと思っているが、船員が足りないならば陸に留まるほうがよいとも思っている。(wikipediaより)

最初の例では、営業担当者同士で協力しあうということよりも、相手を出し抜いたほうが利益が高いと考えられ裏切りを選択することがナッシュ均衡でした。しかし、もし上記の漁師の例のような条件が加わり、営業、プリセールス、製品担当者と3人協力し合わないと、大きな案件を勝ち取れないという状況になった際になるとプレイヤーたちの行動はどうなるでしょうか。つまり単独行動では利益は-10であり、協力すると5になる2択しかないという状況を仕組みとして作ってしまえば人は積極的に協調行動をとり始めるのです。

例えばマイクロソフトではJobのRoleとしてAccount Manager / Account Technology Strategist / Solution Sales Professional /Technical Solution Professional/などと呼ばれるタイトルを持つ人たちがいます。彼らは基本的には皆セールス支援のために働くわけですが、担当営業だとか製品担当者だとか、ソリューション提案専任者だとか、少しずつ役割が違うわけです。また、彼らは 前述の漁師の話と同様に協力しないと案件を獲得できない構造になっており、自然と協調行動が起きる動機が埋め込まれているわけです。

アーキテクチャをデザインするというのは、なにもサーバー設計だけの話ではありません。どうやれば人に組織的に見て適切な行動をとってもらえるか、どうやれば彼らが私的情報を戦略的に利用してズルく立ち回ることをしないか?そうしたことを考えることが設計者の役割だと思います。

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