There is no alternative

エンタープライズソーシャルという戦略は、理論的には100%正しいと思います。英国元首相のサッチャーの言葉で「There is no alternative」、つまり「これ以外の方法はない」という言葉がありますが、正にその通りだと思います。ただ、これが本当に実現できるかどうかはわかりません。これは経営の強い決意をもって実行してもらわないといけない。ですから「ソーシャルが正しいかどうか」を議論するよりは、「本当に実現できるかどうか」を議論するほうが大事になります。

今年も各地で開催された大規模なカンファレンスでは、様々なスピーカーにより「なぜ今エンタープライズソーシャルなのか?」ということが語られていました。それを多くの参加者が評価しました。「あの人の言っている事は正しい」という意見です。様々なユーザーと技術者と会話をしましたが、彼らも同意見でした。「エンタープライズソーシャルというビジョンは正しいので、きちんと実行できること。それに尽きる」ということです。

ソーシャルであれワークスタイルの改革であれ、これらは大きな変化ですから、これまで存在した様々な習慣や常識を変えていかなければなりません。現在、日本企業が大きなイノベーションを生み出せていない状況が続いていますが、短期に問題のギャップを埋める方法はあったとしても、長期には再建が必要になってきます。

ビジネスを成長させるためには、様々な「事」を変えて進めなければなりません。これらは否定しようがないことです。まさしく、There is no alternativeです。繰り返しますが問題はこれを実現できるかどうかです。まだ道のりは、相当遠い状況だと思います。

最近、私はエンタープライズソーシャルの「起承転結」という言葉をよく使っていますが、「起」はグッドスタートで、「承」はディベロップメントです。現在出されている戦略は満点からはほど遠いですが、今までの戦略より、はるかに内容があると思っています。これから問題になるのは「転」、つまりターンです。この評価は、経営者を含めてどれだけ本気で加速させることができるかによって決まります。「転」がうまくいくかに応じて、「結」が決まってきます。

ソーシャルが成功するかどうかは、社員に目的がどれだけ支持されるかに左右されますが、最も重要なのは経営者の意志です。しかし問題は導入の後です。社長といえ改革によって360度敵に回すことはできませんので、やっぱりどこかに集中してやらないといけない。インフルエンサーという人がいますが、そういう人々と協力し、どのように、どういう順位で改革を実行していくのかということが必要になってきます。

先日、面白いと思ったのは、ある企業のドンが「私はこういう意見をもっていて、前田さんとは違う。でも、ソーシャルは応援しますから」と言ったことです。ある分野で意見がくい違う人でも、ほかの分野では手を組むことができるわけです。誰と手を組むか。その駆け引きが重要です。新しいことを始めようとすると、必ず抵抗勢力が現れます。その設定が戦略的アジェンダです。「これから何をしていけばよいのか」会社の中にはそういう戦略を立てるのに優れている人が必ずいますので、そういう人と連携してうまく回していってほしいと思います。また、会議で決まったことは役員会議で決定されますから、そこで決定されたことに関しては決定的な影響力あります。そうした道筋を立てていくことも大事です。

基本的に、新しいことを始めるには、何にしても「壁」と呼ばれるものがありますので、その中から何をやっていくかです。それを突き崩す装置として、まずはスモールスタートとか部分適用とかがありますが、それはうまくやってほしい。そこで実績を上げて大きな壁を壊していくのがひとつのやり方です。数え方によりますが、障壁の数は5〜10程度です。だから、年間2つずつそれを壊すという目標を決めてやっていけばいい。2つであれば、360度敵に回すことはないので現実的です。3〜5年の長期プロジェクトを築いて、毎年2つくらいやっていけば、ほとんどの問題は片付くことになります。

改革をボーリングで例えれば、センターピンはやはり経営者です。改革は経営者の意志に尽きます。新しいビジネスを立ち上げるときにでも言えますが、なにかを始める際には不確実な要素はたくさんあっても100%確実で始められるものはそうそうありません。つまりは、多くの社員が半信半疑な訳です。 しかし、そういうビジネスを始められるのは経営者が強い思い入れを持っているからです。「こんなビジネス果たしてうまくいくか」と思った人もたくさんいるようなものでも、「xxさんがそこまで言うならやろう」ということになるわけです。だから、本当に改革に必要なのは経営者の思い入れです。

センターピンが倒れると次はどのピンが倒れるかという「わくわく感 」が広がっていきます。 アジェンダにはそういう要素が大事です。「難しいことはわからないけど、面白そうだな 」「これをやれば、会社は良くなりそうだな 」という「 Fun」な要素を沢山いれていくが大事です。「Fun」であれば、自然にそれか広がっていきます。コミュニティーマネージャーと呼ばれる人は、これを是非大切にしてほしいと思います。

多くの企業に必要なのは戦略的なアジェンダの設定です。そして「事」を変えるための前向きの施策イシューでの議論を期待しています。